朝雨女の腕まくり

のんびりアラフィフシングルマザー。仕事のことや身の回りのいろんな話。時に真実・時にフィクション。

はじめてのハンドメイド

これはきっと、何がいいとかの正解がない、そういうお話ですが。



私がハンドメイドにはまって、初めて針を持ったのは、小学3年生だった。


母にアランジアロンゾのフェルトのマスコット、みたいな本を買ってもらって、うさぎとクマを作った。最初に作ったうさぎは、手に針を刺し過ぎて、出来上がった時は薄っすらピンクだった (ちょっとホラー)

夏休みにお泊まりに行って、祖母にあげたのだが、すごくすごく喜んでくれた。

初めて作ったものを喜んでもらう、という喜びを知った。


後日大学生になって祖父母の家に居候させてもらうようになって、あるタイミングで、祖母がそのマスコットをティッシュに包んで、アクセサリーボックスに入れて大事に(ジュエリーと共に)しまってあるのを知った。

うさちゃんは薄っすら茶色く変色していた (経年 笑)


恥ずかしいから捨ててよ〜って私が照れたら、祖母はさっとティッシュに包み直してボックスに入れ、私の目の届かないところにしまってしまった。


祖母は、おおよそ欲とは縁遠い人で、プレゼントをあげても、あの方の方が似合うからとあげてしまう。スカーフやジュエリーといった高価な物でも、なんの躊躇もなく祖母の手を通過して、他の人のところへお嫁に行った。


一度ね、それとなく文句を言ったことがある。おばあちゃんを一生懸命思って選んでるのに、送った人は悲しくない?って。


祖母はふふと微かに笑って、頂いた気持ちだけで嬉しいのよ。あとは大事に使ってくださるところに行った方がいいの、って。


普段とても柔らかいのに、そういうところがちょっと頑固な祖母だった。


祖母が私から受け取ったものは、京都のお土産に買ったハツカネズミのお寺さんのお守り(祖母の干支はネズミだった)と、そのマスコットくらいかもしれない。


祖母は私に数え切れない物とサポートと庇護をくれた。


世の中には高価なものに満ち溢れている、って思う。でもきっと欲のない祖母は誰からも愛される、幸せな人だ。

不幸を経験したことがないわけじゃないのは、いろんな話を聞いてると知ってはいるが、90歳を超えてもなお、透明感のある姿と、愛らしい笑顔。


私の将来の最終的な、理想の姿だと思う。