はじめてのハンドメイド
これはきっと、何がいいとかの正解がない、そういうお話ですが。
私がハンドメイドにはまって、初めて針を持ったのは、小学3年生だった。
母にアランジアロンゾのフェルトのマスコット、みたいな本を買ってもらって、うさぎとクマを作った。最初に作ったうさぎは、手に針を刺し過ぎて、出来上がった時は薄っすらピンクだった (ちょっとホラー)
夏休みにお泊まりに行って、祖母にあげたのだが、すごくすごく喜んでくれた。
初めて作ったものを喜んでもらう、という喜びを知った。
後日大学生になって祖父母の家に居候させてもらうようになって、あるタイミングで、祖母がそのマスコットをティッシュに包んで、アクセサリーボックスに入れて大事に(ジュエリーと共に)しまってあるのを知った。
うさちゃんは薄っすら茶色く変色していた (経年 笑)
恥ずかしいから捨ててよ〜って私が照れたら、祖母はさっとティッシュに包み直してボックスに入れ、私の目の届かないところにしまってしまった。
祖母は、おおよそ欲とは縁遠い人で、プレゼントをあげても、あの方の方が似合うからとあげてしまう。スカーフやジュエリーといった高価な物でも、なんの躊躇もなく祖母の手を通過して、他の人のところへお嫁に行った。
一度ね、それとなく文句を言ったことがある。おばあちゃんを一生懸命思って選んでるのに、送った人は悲しくない?って。
祖母はふふと微かに笑って、頂いた気持ちだけで嬉しいのよ。あとは大事に使ってくださるところに行った方がいいの、って。
普段とても柔らかいのに、そういうところがちょっと頑固な祖母だった。
祖母が私から受け取ったものは、京都のお土産に買ったハツカネズミのお寺さんのお守り(祖母の干支はネズミだった)と、そのマスコットくらいかもしれない。
祖母は私に数え切れない物とサポートと庇護をくれた。
世の中には高価なものに満ち溢れている、って思う。でもきっと欲のない祖母は誰からも愛される、幸せな人だ。
不幸を経験したことがないわけじゃないのは、いろんな話を聞いてると知ってはいるが、90歳を超えてもなお、透明感のある姿と、愛らしい笑顔。
私の将来の最終的な、理想の姿だと思う。