飴
ねえ、あれちょうだい。
ぷっくりとしたおててに細い人差し指を伸ばし、娘が言う。
視線と指の先を探すと、リンゴの形をした真っ赤なキャンディーが、透明なボックスに詰められている。
いくつ欲しい?って私が聞くと
ひとつ、って答える。
私が一粒選んで小さなカップに入れると、彼女は満足したかのようにレジに並びに行った。
ここ、グラムで測るお店なのにな。いっぱいいっぱいカラフルなお菓子が並んでいるのに、娘はじっくり時間をかけて選んで、一粒で満足している。
その欲のなさが、羨ましい。
その欲のなさが、愛おしい。