朝雨女の腕まくり

のんびりアラフィフシングルマザー。仕事のことや身の回りのいろんな話。時に真実・時にフィクション。

ねえ、あれちょうだい。


ぷっくりとしたおててに細い人差し指を伸ばし、娘が言う。


視線と指の先を探すと、リンゴの形をした真っ赤なキャンディーが、透明なボックスに詰められている。


いくつ欲しい?って私が聞くと


ひとつ、って答える。


私が一粒選んで小さなカップに入れると、彼女は満足したかのようにレジに並びに行った。


ここ、グラムで測るお店なのにな。いっぱいいっぱいカラフルなお菓子が並んでいるのに、娘はじっくり時間をかけて選んで、一粒で満足している。


その欲のなさが、羨ましい。

その欲のなさが、愛おしい。